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中部日本ネーム刺繍業組合

 

ミシンを使ってネームを刺繍

 
 一口に刺繍といっても、花や動物などの絵を服やテーブルクロスなどに縫い込むものもあれば、背広や学生服、スポーツウエアなどに名前を縫い付けるものもあります。ネーム刺繍は、個人の名前や企業名などをミシンを使い服に縫い付ける仕事です。
 刺繍そのものは、日本でも古くから行われていたようです。しかし、ミシンを使ったネーム刺繍は、名古屋では昭和の初期に始まりました。昭和30年の中頃までは手縫いでネームを刺繍する人もいたようですが、いまでは完全に姿を消しています。手縫いの方がミシンを使うより難しいように思われますが、実際はミシンの方が技術を必要とします。生地の上に下書きをして丁寧に手で縫っていけば、素人でも出来ないことはありません。しかしミシンの場合は、そうはいきません。
 

筆と同じようにミシンの針を動かす

 
 書道家が、白い紙の上に文字を書くように、下書きのない生地をミシンにあてて前後左右に動かすだけで、書体や大きさの異なる文字が刺繍されていきます。その速さは、書道家がゆっくりと筆を動かすよりも少し遅い程度です。ミシン針は上下とともに、作業者に対して左右にしか動きません。左右に動く針の幅やスピードは、足元のペダルとレバーで調整します。上下にだけ動くように筆を固定し、下に置いた紙を動かしながら文字を書くようなものです。
 コンピュータを使った自動刺繍機もあります。エンブレムや社名のように同じ名前でロットの大きなものにはそうした機械は有効ですが、制服ようのにすべて異なる苗字を刺繍する場合は、ミシンを使った方がはるかに作業が速くなります。ネーム刺繍で一人前の技能者となるには、ミシンの操作さえできればいいというものではありません。書道の心得をもち、様々な書体の漢字、英字、ドイツのヒゲ文字なども頭の中に入れて置かなければなりません。
 
オリジナル性をもつネームだから量産できない刺繍
 

仕事がなくなる可能性はない

 
 組合が設立されたのは戦後すぐでした。統制品の糸の配給を受けやすくすることが目的でした。その後、組合員は50社以上を数えたこともありますが、最近は若干減って40数社となっています。最近は、ネーム刺繍の代わりにプリントを使ったり、背広などの量販店がその場で刺繍ができるコンピュータの自動刺繍機を導入するなどして仕事量も少なくはなっています。それでもプリントは何度も洗濯をするうちにはげてしまいます。オリジナル性の高いもの、制服に違った文字を刺繍するような場合は量販店では対応ができないことも多いようです。後継者難とはいっても、組合員のうち3分の1はサラリーマンを辞めて跡を継ぐ人がいます。一見地味なようにも見える業種ですが、技能と機械化の難しさもあって、次代へと受け継がれていくことでしょう。
 

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